忘れないように

単に記憶力が著しく悪いのか、それとも他に何か原因があるかわからないけれど、年々忘れてしまうことが増えています。その時を生きていた俺が死んでいるような、もう二度と手に入らないものがこぼれ落ちていってるような、そんな気がしてもうこれ以上失いたくないので、日々を書き留めたい気持ちがこのブログです。

サカナクションを知らないやつは今すぐに聴け、これは命令だ

 

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 こんにちは。今日はどうしても聴いてもらいたい音楽があります。良い音楽です。それもただ良いんじゃなくて、とても良い音楽です。認めます、いつも俺がこれ良いよって言うのは大体わけのわからないものばかりだ。でも今回だけは違う、信じてくれ。その音楽とはサカナクションだ。知ってる人も多いと思うがもしまだ知らない聴いたことがない人は今すぐに聴け。知ってる人も今一度聴け。そして俺がいつも書いてるクソの足しにもならないような雑記は読まなくてもいいけど今回だけは最後まで読み進めて欲しい。

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 最近の音楽、特にまだ人気に火がついてないよう燻ってる音楽は如何にインパクトを残せるかで凌ぎを削り合っている。俺がよく好む音楽も、鼓膜に嫌に残るような特徴的な声で脳裏にこびりついたり、歌詞を聴き取るまでに何度も聴かないといけないほど早口に歌い上げて「こんなに聴いてるのはもしかしたら好きだからかもしれない」って錯覚させるまるでイリーガルな投薬して調教するヤクザみたいな音楽とかそんなんばっかだ。今例に挙げたのはまだまだ氷山の一角で、人目を集めるアプローチの手法なんてのはまだまだある。

 こんな風になったのは社会のせいだ。没個性化が進んできて、このままでは良くないと突然個性を伸ばせみたいな教育するから俺たちは個性を伸ばすことに呪われた。でもそもそも周りに個性を備えた人間がいないし、個性の伸ばし方を書いた教科書もない。だから、とにかく人と違えばそれは個性なのではないかと勘違いした成れの果てが現状だ。でもみんな個性を知らないまま個性を伸ばす教育を受けたというバックグラウンドが同じなので、思考回路も同じ。個性とか奇抜さを売りにしてるサブカル男女がみんな似たような格好をしてるのはそういう理由だ。人と違うことをしようとしてるのに示し合わせたようにみんなが同じことするから、アイデンティティが確立できない。アイデンティティって、なんだ。そう言って、俺たちは頭を抱える。そしてサカナクションは言う。

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アイデンティティがない 生まれない らららら

 大事なことの全てはもう大体親か学校の先生に教えてもらったとばかり思ってたけど、まさかこの歳になってまだ教わることがあるとは思わなかった。それも教わるのが親でも先生でもなくて、サカナクションだとは。でもこの間違いに気づかせてくれて本当にありがとう。そうだよな、アイデンティティは生む生めないじゃなくて、生まれる生まれないだよな。無理に人と違うことして、それを個性と言い張って仮にそれが定着してもそんなのはただの虚偽だ。自分が元から持ってるものがアイデンティティに昇華するんだ。それを教えてくれるのがこの曲。

 

 まあ実際はアイデンティティがないなんて歌ってても、サカナクションアイデンティティが十分にあるんだけどな。

 

文学性のある歌詞

 別にわざわざ見出しをつける必要はないんだけど、そのほうが見やすいかなと思って。

 大体の曲って、メロディがあってそこにメッセージを載せていて、根幹にあるのは音だ。俺個人の見解だけど、メッセージを伝えるためにはダイレクトにわかりやすい形をとるのが得策で、あまり文学的になりすぎないほうがいいのだと思う。でも俺は文系だし自分からこんな風に文章書いてるくらいだからとにかく読むのが好きだから、どうせならわかりやすい言葉よりも様々な角度から吟味できるような表現や言葉を使って欲しい。そしてそれをするのがサカナクションだ。西野カナが「会いたくて震える」と歌った以降のとにかく歌詞にインパクトを残せばいいみたいな傾向に辟易としていた分、サカナクションの歌詞には本当に痺れた。歌詞に行き詰まって曲を一旦お蔵入りにするアーティストなんか聞いたことねえよ。

 小説開けたら文章が音に乗って自分の中に入ってくるような感覚があるくらい、独自の世界観があってそこに何を言いたいのか考察させる表現やワードセンス。エンドレスって曲の「見えない夜に色をつける」っていう歌詞、その歌詞の前後読んでも歌詞全部読んでも未だに想像も及ばない。夜の東側っていう曲は多分別れの曲だけど、夜の東側という言葉の意味がわからん。っていうかサカナクションの曲になんとなくでも何が言いたいか察することのできる曲が1曲としてない。だから楽しい。昔読んで難しくてわからなかった本を何年かしてから読むと、少しわかる部分があったりして楽しい感覚を覚えるのと似たような体験を、サカナクションの曲でも味わえる。

 まあでも、今はなんと言っても動画の時代だ。文章なんかもうオワコン。だからみんなもわざわざ推察しないといけないくらいの歌詞なんて嫌だよな。でも安心してくれ。

 

歌詞だけじゃなくて音へのこだわりもすごい

 ただ文学的な歌詞だけが売りのバンドなら俺もここまで好きにならなかった。サカナクションの最大の魅力は何と言っても型にハマらない音楽性の幅広さだ。最近の音楽シーンではポップでもありロックでもあるというのが多いが、サカナクションはそれに加えてエレクトロ・クラブサウンドを基調としたダンスミュージックらしさもある。

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 以前友人に誘ってもらって行ったサカナクションのライブ、SAKANAQUARIUM 10thANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Aroundで聴いたこの曲はサイコーだった。会場にいるリスナー全員が狭い座席で踊り狂っていた。歌詞もいいけど、音楽は読んで字の如く「音を楽しむ」ものだ。音を楽しめ。いや、音も楽しめ。

 ちなみに6.1ch Sound Atoundというのは約300本のスピーカーから音を出すシステムのことで、もうこれの臨場感ときたらエグイのなんの。昇天するレベル。いやマジで。ライブの音響ですらそこまでこだわるんだから、そもそもの曲の音をこだわらないはずがない。先に挙げた俺がよく好む嫌に鼓膜に残るような音楽とは違って、サカナクションサウンドは心地よく耳に残る。本当、曲によって音が全く違うし、興味を持ったら是非色々聴いてみて欲しい。

 

1曲1曲がどれも最高

 いかがだっただろうか。サカナクションは歌詞にもこだわりが強ければ、もちろん音へのこだわりも強いので曲をリリースするペースは確かにやや遅いかもしれないが、その代わり1曲の完成度がずば抜けて高い。最近の音楽、いや音楽だけに限った話ではないが、ちょうどいいものをテンポよく消費していく流れが今の世では強い。それっていいことなのかと聞かれたらよくわからない。でも俺は、ちょうどいいものをポンポン消費していくより、すごくいいものと長く付き合っていけたらなと思う。だから俺はこれからもサカナクションにはこだわりを強く持ち続けたままでいて欲しい。

 最近CM出演があったり、新しいアルバムのリリースが決まってたりと、サカナクションが長い製作期間を経てアウトプットするターンが今まさにきてるのでどうかこの機会に是非みんなにも知ってほしい。今回はそういう記事でした。それでは、良いサカナライフを。