忘れないように

単に記憶力が著しく悪いのか、それとも他に何か原因があるかわからないけれど、年々忘れてしまうことが増えています。その時を生きていた俺が死んでいるような、もう二度と手に入らないものがこぼれ落ちていってるような、そんな気がしてもうこれ以上失いたくないので、日々を書き留めたい気持ちがこのブログです。

家族ごっこ

 

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    昔こんなドラマあったよね。櫻井翔が「東大合格率100%」の家庭教師で、ある家庭に雇われる。その家庭はそれぞれが問題を抱えており、その家庭を一度めちゃくちゃにするが、最後には再構築されたその家族は以前より強固な絆を築くってやつ。

    これとは違うけど、うっすらとこれに関連するような、そんな話です、今回は。

 

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    今でこそ自分の家庭環境を不幸とは思わないしそれなりに満足していたりはするんだけれど、「世間一般的に」というフィルターを介して見れば俺が過ごしてきた家庭環境は良いか悪いかで言えば後者に寄っている。

 

    3歳の頃に両親が離婚した。後になって理由を聞いたけれど、双方にそれぞれ問題があるなと思った。母親は俺と弟の親権を拒否し、反対に父親はそれを望んだ。(関係ないけど親権なんて拒否したり譲渡できたりするものなのだろうか。親からすれば子はどこまでいっても子であるのと同様に、子からすれば親もいつまでも親であることに変わりはないのに。)

    そうすれば後は自然に父親側に引き取られたが、当然父親には仕事がある。金銭面での養育は可能ではあるが、それ以外には手が届かないし当時の俺は3歳で弟に至っては生後間もない。自立なんて無理な話だ。結果俺と弟は父親の実家で父方の祖母と叔母に面倒を見てもらうことになる。

 

    中学入学を目前にして父親は再婚する。子供ができたから。俗に言うデキ婚だ。当時、神妙な面持ちをした父親に新しいお母さんを受け入れてくれるか(結婚してもいいか)と聞かれて俺は同意したが、あの時拒否していたらどうなっていたんだろう。そもそも拒否したところでそれが認められたのだろうか。

 

    しかしその再婚も長くは続かなかった。ある日再婚相手の母が父との間にできた子供(俺の腹違いの弟)を連れて出ていった。元々精神的に少し問題を抱えていた人で、当時の俺は反抗期とか遊び盛りだったのが重なってよく再婚相手の母を疲弊させていた。

    言うなれば俺のせいで離婚したようなものではあるが、そもそも先に父親が俺と弟に負担を与えていたんだからこれでおあいこみたいなもんだろと全く罪悪感はなかった。或いは罪悪感を感じたくないためにそう思おうとしていたのかもしれない。なんの関係もない巻き込まれた腹違いの弟には今でも申し訳なく思うが。一生俺と親を恨み続けてくれ。

 

    まあそういう家庭環境だったので、俺には母親という存在がこれまでの人生に殆どなかった。法律上の関係上、実の母と月に一度面会していたが、別にあの人に母親を感じたことはないし。

    そう言えば3年くらい前に、家に飯が用意されてなかったので父親に腹減ったからなんか食わしてくれって連絡したら、知らんスナックに連れてかれて、そこのママ(もちろん知らない)のカレー食わされたことあった。「母親の味」とかよく言うけれど、それって一体なんなんですか。本当に。

 

    父親とは仲が良い。それもかなり。そりゃ時折衝突もするけれど。基本的には仲が良い。だって普通の家庭の人なら親と過ごす時間の全ては母親と父親の「2」で割られるけど、なんせ俺は「1」だから。一般家庭の皆様の父親との親密度が、俺の場合それが倍な訳だ。

 

    父親のことはなんだかんだ好きだ。尊敬できる部分もある。でも1つだけ嫌いなところがある。それはやたらに「仲良い家族」を演出してくるところだ。

    実際俺と弟と父親の3人家庭は仲が良い。でもそれを強調してくるのは正直いただけない。父親とすれば俺と弟に自分のせいで負担を与えたという罪悪感があるのかもしれないが、それを補うかのように「母親がいない家庭でも俺たち家族は幸せ!」みたいな雰囲気を構築するのは、父親のエゴや自己満足、或いは保身に付き合わされているようで吐き気がする。

 

    別にそんなことしなくていいじゃないか。ねえ、お父さん。俺と弟はそれなりに幸せだと思ってるよ。そんなことしなくてもありのままで良い家庭だろ、俺たち。お父さんが頑張ってきたの1番近くで見てたのは間違いなく俺と弟だよ。充分頑張ってたじゃないか。もうやめなよ。やめようよ。こんな家族ごっこはさ。

 

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    みんなにもそれぞれなにか「ごっこめいたもの」あるんじゃないでしょうか。家族ごっこ友達ごっこ、はたまた人間ごっこ?知らないけれど。何かしら1つは誰しもにあるものなんだろうと。そんな気がしているよ俺は。これを読んでそれに気づいたり、そこから逸脱してみようと思うきっかけになれば幸いです。それでは。