忘れないように

単に記憶力が著しく悪いのか、それとも他に何か原因があるかわからないけれど、年々忘れてしまうことが増えています。その時を生きていた俺が死んでいるような、もう二度と手に入らないものがこぼれ落ちていってるような、そんな気がしてもうこれ以上失いたくないので、日々を書き留めたい気持ちがこのブログです。

問. でんぱ組.incが最強のアイドルであることを証明せよ。  

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問. でんぱ組.incが最強のアイドルであることを証明せよ。

 

もしこんな問いがテストにでたら。文系の人間は証明という理系を醸すワードを察知したらばすぐに次の問いへとシフト。正しい対処法である。

ただ文系には文系なりの証明の仕方がある。それを示すことで俺は文系の希望になるんだという建前を述べたうえででんぱ組の魅力を余すことなく書いていく。

 

本当なら順当にメンバー紹介から書いていきたかったんだが、俺がでんぱ組を好きすぎるあまり文字数がえらいことになったので、まず一番の魅力から書いていくことで興味が湧いた人からどんどん読み進めてもらえれば幸いだ。

 

萌えキュンソングって?

 

「萌えキュンソングを世界にお届け!でんぱ組.incでーす!」

 

これはでんぱ組.incのお決まりの挨拶である。

ただ初見の人には萌えキュンソングがわからない。いやむしろわからなくていい、わかるな。それを俺が今から説明するんだから。

 

一言で言うなら萌えキュンソングとは電波ソングである。

萌えキュンソングは彼女たちが生み出した概念であるのに、それをわざわざ一言で言うなら電波ソングですなんて言うのは少し無粋というか無神経ような気もするが、彼女達は以前キャッチコピーで「電波ソングで世界に元気を発信♪」なんて言ってたんだから許されるだろう。

 

じゃあ電波ソングって?

電波ソング(でんぱソング、電波歌、電波曲)は、「過度に誇張された声色」、「意味不明、支離滅裂だが印象的な歌詞」、「一般常識からの乖離」、「奇異ではあるが耳に残る効果音や合いの手、掛け声」、「一度聞いたらなかなか頭から離れない」などを特徴に持つ音楽を指す。滑稽で笑える歌とされることも多い。 

 

上記を読んだ上で、とりあえず一曲聴いてみよう。

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いかがだろうか?

個人的な見解ではあるがでんぱ組.incの楽曲が電波ソングであるのは、一度聴いたらなかなか頭から離れない中毒性やメンバーそれぞれの声色の特徴にあるように思える。

 

でんぱ組.incの曲にはBPM(一分間に刻むテンポ)が早い曲が多い。

その早いテンポの中で、語呂の良いワードや印象的な歌詞を目一杯つめこんで早口に歌い上げることで、脳で知覚するより先に本能や体に訴えかけてくる。

情報量の多さを一瞬のうちに与えることで、聴くサイドの人間としては取りこぼした情報をなんとか拾おうと気づけば何度もリピートして再生してしまう。そしていつしか耳がでんぱ組.incの楽曲を求めれずにはいられない体にされる。

それこそが中毒性をもたらす由縁なんだろう。いや、中毒性なんていう言葉ではぬるい。こんなのはもはや投薬である。もちろんイリーガルな。やり口がヤクザだ。メンバー全員がオタクのアイドルグループ?メンバー全員がヤクザの間違いじゃないですか?

 

声色も誇張などはされてないがそれでも一人一人の個性が強すぎる。

キンキン高い声や、元気の押し売りみたいな明るい声や、語尾が尻上がりに発音される独特の節や、かっこいい声や、気の抜けそうなフワッとした声や。

キンキン高い声に思わず体が強張った矢先にフワッとした声で脱力させたりと、ギャップや緩急で一瞬も気が抜けずにはいられなくなり、一度曲が始まれば目が離せなくなる。

 

上記の魅力が詰まった彼女達にしか歌えない電波ソングこそが萌えキュンソングである。

そしてそんな萌えキュンソングを激しいダンスをしながら生歌で圧倒的な歌唱力で歌い上げるのがでんぱ組.inc、もといアスリートの要素を持ったヤクザ達。

さらに時にはスローテンポな曲をしっとり歌い上げたり、有名歌手のカバーソングを発表したりとファンのターゲット層を問わないのも人気の秘訣だろう。

 

独特なアイドル

 

アイドル戦国時代と呼ばれる昨今、多くのアイドルグループが覇権争いをしている。

AKB48をはじめとする48グループや乃木坂46欅坂46を代表とする坂道系にモーニング娘。を筆頭にしたハロー!プロジェクトスタプラ派閥のアイドルが犇めき合う中ヒットするのは難しい。

単純に歌がうまいだけや可愛いだけで四大派閥を押しのけてヒットするのは難しく、コンセプトが必要である。

バンドじゃないもん!は楽器が演奏できるメンバーがグループ内に存在するし、今や大人気の橋本環奈も可愛さもさることながら「1000年に1度の美少女」というキャッチコピーが彼女をヒットへ導いた。

 

でんぱ組.incはプロデューサーの福島麻衣子こともふくちゃん秋葉原に営むイベントカフェで前身ユニットが結成されたことから秋葉原を意識したコンセプトが強い。

秋葉原というとオタク文化が盛んな町であり、故にメンバー全員がオタクであることとしている。当時の秋葉原ではハンドルネームで互いを認識し、年齢や職業まで聞くのは野暮だったからそれにのっとり比較的初期からのメンバーは年齢非公開となっている。またでんぱ組.inc命名は前身グループのでんぱ組に拡張子がつくほうがより秋葉っぽいからと、とにかく秋葉原コンセプトが盛りだくさん。

今でこそオタクをコンセプトにした製品で溢れオタクが普通に受け入れられているが、当時はまだオタクは受け入れられがたいものだった。

これまでのアイドル像は自らの暗い体験や経験をファンの前で打ち明けることはなく、常にニコニコしていてファンに夢や希望を与える存在であった。

しかしでんぱ組.incは自らがオタクであることを認め、それが原因で起きた辛い過去を楽曲W.W.DやW.W.D Ⅱ(リンクは下部)で打ち明け「マイナスからのスタートナメんな」とオタクでも輝けることを自らの活動で証明した。

既存のアイドル概念とは違うが、オタクの彼女達がアイドルとして自らをセルフプロデュースすることで生まれた独自のアイドル概念である。

まだ受け入れられがたかったオタクに夢や希望を与えた彼女達はまさにアイドル、最強のアイドルである。

 

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メンバー紹介

古川末鈴

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キャッチフレーズは歌って踊れるゲーマーアイドルセンターを務める。担当カラーは

香川県出身で高松観光大使

ディアステージにて小和田あかりでんぱ組.incの前身ユニットを結成し、メンバーの入れ替わりが多いこのグループで唯一の結成メンバー。

オタクジャンルはゲームで、特に音ゲームでは弐寺で十段の腕前を誇り単体でゲーム関連の仕事をこなすことも。

以前ニコニコ動画に踊ってみた動画を投稿しておりダンススキルはグループ内で一二を争う。

ファン界隈でみりん節と呼ばれる語尾を尻上がりに発音する歌い方の中毒性はすさまじく、それにより俺も気付けば彼女を推すようになっていた。

元々アイドルが好きだからこそ、アイドルであることへの意識が高くステージ上での彼女は圧巻の一言に尽きる。

しかし一度ステージを降りれば滑舌は悪いし絵のスキルは独特で料理は壊滅級というひどいポンコツぶり。ただそのギャップがたまらん。

貧乳貧乳と言われていたが最近採寸したところEカップだったそう。

最近独自のブランドを展開するなどゲーム関連以外にも活動の幅を広めている。

 

相沢梨紗

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キャッチフレーズは2.5次元伝説!

リーダーを務める。通称はりさちー。

オタクジャンルは2.5次元で担当カラーは

声優の仕事をこなしたり、ライブでは可愛い声から凛々しくカッコイイ声を見せたりと声が特徴的。また、歌唱力は圧巻のレベル。

料理が得意で料理本を出版したり、独自のブランドも展開したりと活動の幅が広い。

ホラーと海外ドラマが好きなそう。あと中二病をこじらせている。

しっかりしていそうなのに、極度の方向音痴でTwitterでは #りさちーしっかり のタグでおなじみ。

生まれが大阪なのでたまに関西弁を喋るのが愛らしい。

あとたまに天然で毒舌を披露。たまらん。怖い女性っていいよね。

夢眠ねむ

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俺がでんぱ組.incに興味を持ったのはこの人がきっかけ。

Youtubeの広告にでんでんぱっしょんが出てきて、そこで彼女を見てすぐさま検索バーにでんぱ組.incと打ち込み魅了されていった。

キャッチフレーズは永遠の魔法少女未満。担当カラーはミントグリーン。ねむきゅんと呼ばれる。

オタクジャンルはオタク研究 とあるが、コラムの執筆や映像監督の仕事もこなすプロデュース力の高さ。また料理の腕前も高く料理本を出す。とにかく活動の幅が広い。もうこれ文化人だろ。

独自がプロヂュースしたたぬきゅんというキャラクターが大人気。

芸術性が高く夢眠ねむは1つの作品であるとし、中の人が存在するらしい。

三重県出身で三重の観光大使を務める。

率先してみりんちゃんをいじる傾向にあるがなんだかんだ世界で最もみりん推しなのはねむきゅんな気がする。

また身長170cmの長身や出っ歯は彼女のトレードマーク。

追記: 2018年10月13日、でんぱ組.incの公式ファンクラブ"でんぱとう"のメールにて芸能活動10周年を機にでんぱ組.incの卒業、並びに芸能界を引退することを知らせた。

2019年の1月7日に武道館公演をもってでんぱ組.incの卒業、そして3月末日に芸能界を引退するとのこと。

そして今後はキャラクタープロデュース(たぬきゅん)や書店開店に取り組んでいくとも本人が知らしている。

11月にはソロアルバム夢眠時代もリリースして、夢眠祭が開催されたのも節目と捉えると納得がいく。

引退してもファンにとってはいつまでも大きな存在で、ついに夢眠ねむは概念になるんだな、と感慨深いけど寂しいような変な気持ちだ。

 

成瀬瑛美

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キャッチフレーズはハイテンションA-POPガールというだけあってとにかくいつもハイテンション。バビューン!が口癖であといつも小刻みに動いていて聴覚的にも視覚的にもうるさい。

担当カラーはイエローオタクジャンルはアニメと漫画

えいたそと呼ばれるが、マキシマムえいたその名も併せ持つ。

メンバー全員がオタクのこのグループで一番こじらせちゃったオタクはこの人だろう。笑って話す黒歴史がマジで悲惨だし。

特技はえいラップと呼ばれるラップ。

でもいろいろこじらせた人だけどみんなを元気にする力がある。

これは余談なんだけど昔俺の三人くらい前でみりんちゃんとのチェキ券がなくなって気持ちが沈んでたんだけど、えいたそとチェキとってびっくりするくらい元気になった。画面で見るのと何一つ変わらなくて安心した。えいたそは太陽。

 

藤咲彩音

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2011年12月25日に最上もがと共に加入。

担当カラーはブルー

キャッチフレーズは踊ってみたら七変化!というだけあってダンススキルはグループ内でみりんちゃんと共に一二を争う。彼女もまたニコニコ動画に踊ってみた動画を投稿していた。

オタクジャンルはコスプレなのだが、両親の影響で僅か1歳からコスプレイヤーとしての経歴をスタート。

上記の四人に比べて若いため(6人体制のころ彼女だけが年齢を公表していた)よく子供いじりをされていた。

彼女もまた独自のブランドを展開し、最近では舞台でも活躍している。

ファンからはピンキーと呼ばれる。

曲中でキンキン高い声が聞こえたらばピンキーかえいたそ。

 

根元凪

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2017年12月30日に鹿目凛と共に最上もがが脱退して5人体制となっていたでんぱ組.incに加入。

しかし元より虹のコンキスタドールに在籍しているので兼任という形に。

現在最年少の19歳。背も150cmと小柄で、特にでんぱ組のメンバーは比較的背が高いので特に小さく見える。ライブでねむきゅんと並んだ際の絵面は秀逸。

しかし小柄でありながらGカップを誇る。どんな成長すればそうなるんだ。

担当カラーはでキャッチフレーズは歌って描けるポンコツカワウソ

よくTwitterにイラストをあげているがアイドルになる前にはpixivに投稿していた。

オタクジャンルはボーカロイド。新体制でのパフォーマンスを見て歌唱力の高さにびっくりした。

ねもと呼ばれる。

 

鹿目凛

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根元凪と共に加入。彼女もまたベボガ!に在籍しており兼任とされていたが、今年9月23日にベボガ!解散に伴いでんぱ組.inc専任となった。

担当カラーはたまご色。キャッチフレーズはイラストも描けちゃうあなたの彼女♡

じゃあ頼むから付き合ってくれ。

SNSを中心にぺろりん先生の名義でアイドルとオタクを風刺的に描いた漫画が人気でイラストレーターや漫画家としての一面も。

オタクジャンルはDIY

同時加入のねもと比較されそうだが、彼女も歌唱力が高い。

特に声が独特というか中毒性があり、みりん節に依存していた俺も最近彼女の歌声に目が、いや耳が離せない。

あとこれもねもと比較されそうだが彼女もまたストレートに言うなら巨乳。

頼むから付き合ってくれ。

ぺろりんと呼ばれる。

 

最上もが

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ピンキーと共にでんぱ組へと加入したが2017年8月6日に脱退を発表。

在籍当時の担当カラーはでキャッチフレーズは宇宙を駆ける金色の異端児

オタクジャンルはネトゲ。一人称が「僕」なのは女はゲームの世界でナメられるので男のフリをして僕と言っていたら自然となったそう。

多分なんだかんだでんぱ組.incで一番有名だった人。単体でのテレビ出演も多く僕っ娘などテレビ受けするキャラクターに加え、グラビアでも人気があった。

でもこの人はなんだか一言多くて、それがわざとなのか天然なのかはわからないがよく炎上していた。だから個人的にはあまり好きではなかった。

ただ今や多くのアイドルグループで見かける金髪ショートの礎を築いたのはもがちゃんだろう。

実際6人体制のころ、もがちゃんがいるだけでインパクトというか華があった。

歌は不安定だが、その不安定な歌声と努力する姿勢がもが推しには刺さってたんだろうな。俺はこの子たまに研ナオコに見えるなとか失礼なことを思ってたけど。

 

跡部みぅ

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最上もが、ピンキー加入前に、みりんちゃんりさちーねむきゅんの三人体制のでんぱ組にえいたそと共に加入するが、一年程で就職のため卒業となった。

在籍当時の担当カラーはピンクでキャッチフレーズはセクシー系小悪魔腐女子

 

最後に

いかかだっただろうか。ここまで読んでもらえて少しでも興味を持ってもらえたら最後だ。この記事の最後に個人的に勧めたい曲をいくつか貼っておきます。

もうオタクジャンルとかも若干強いて言うならなみたいな感じもするし、年齢非公開もメンバーによったりとガバガバで今やコンセプトを置き去りにしている感じも否めないがそれでも絶大な人気を誇るまでに元はオタクだった人間がアイドルとしてここまで大成した。

マイナスからのスタートナメんな!と暗い過去を晒していたことを思うとここまできたのには一種のドラマを感じずにはいられない。

とにかくいろんな要素がつめこまれているので、知れば知る程好きになっていけるだろう。おすすめです、でんぱ組.inc

 

それじゃあ。

 

Twitter https://twitter.com/rfordldd

 

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ぱいぱいでか美の名前に言及するのはもう三番煎じくらいだけど

 

    みんなぱいぱいでか美って知ってる?ちらほらテレビで見かけて、有吉反省会のレギュラーのこの人。

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    すごい芸名だよな。最初ぱいぱいでか美って芸名聞いた時はまたバカが増えたのかって頭を抱えた。名前が性的なコンテンツ。現に有吉反省会で名前が下品すぎるとかで取り上げられてたし。

 

    でもこの名前ってすごいインパクト残せるから強い。1回聞いたらこんな名前忘れたくても忘れらんねえよ。脳裏にべったりと張り付いてきやがる。

    西野カナが会いたくて震えるって歌ったのをきっかけにワードのパワーを重視する傾向がどんどん強まってきて、僕の心臓のBPMは190とか東大生ギャンブラーとかいろいろあるけど、ぱいぱいでか美という名前はずば抜けてパワーが重い。確実に人の関心を掴める。

    だからネットで、ぱいぱいでか美は名前で勝ってるって言われてる。同感だ。

 

    でも俺が1番すごいと思うのは、そういう狙いがあったとしても、その名前に踏み出せた勇気そのものだ。

    芸名なんて本名より多くの人間に認知されるのに、それを踏まえてぱいぱいでか美と名乗る度胸。ぱいぱいでか美を知らない人がその名を聞けば、必ずいやらしい目で見るだろうに。会ったこともない多数の人間からいやらしい目で見られる覚悟。頭が上がらねえ。

    俺にはちんちんでか男として人前に立つ度胸はない。まずでかくねえし。

 

    でかくないと言えば、ぱいぱいでか美のぱいぱいも、確かにでかいけど言うほどでかくない。それでもぱいぱいでか美と名乗る。

    地味な顔してるのに、メンタルがシュワルツェネッガー。それか事務所に肉親を人質にとられて脅されてるか。

 

    これほどとは言わないけど、ちょっと強気に生きてみてもいいんじゃないか。慎ましいことが美徳だみたいなこの国の古くからの思想をそろそろぶち壊す時代にしようぜ。もちろんリーダーはぱいぱいでか美で。

 

    ところで、この記事ぱいぱいでか美って名前打ちすぎてすごい読みにくいな。もう売れてきてんだから本名の仲井優希に芸名変えてくれねえかな。

 

    あと検索履歴にぱいぱいでか美って残るの人に見られたら嫌だしやっぱり下品な名前だわ。

 

怒ることは悪いことじゃない

 

    昨日、と言うか数日前から隣の病室に入院してきた男がすごく嫌いな人間で、俺は久しく怒っている。

    普通なら、看護師に注意してほしい旨を伝えたりするところだが、自分が我慢すれば済む問題に人の手を借りるのが、なんだかその人に申し訳なく思ってしまうので、しない。と言うか出来ない。

    個人的に少し注意とかもしない。相手が逆上して揉め事にでもなったら、結局看護師の介入が必要になって、自分のせいで手を煩わせることになったと思ってしまうからだ。

 

    それにしても、隣の男はよくそれだけ怒れるなと思うほどいつも何かに怒っている。職員の些細な態度や言葉遣い、はたまた電話口の相手にもずっと怒っている。怒りっぽい、なんて枠を軽く超えている。

 

    怒ることが悪いことなんて思わないし、むしろいいことだとすら思う。

    怒るということは、注意だから。例えば誰かが自分を怒らせることをして、そういうことすると人は怒るよ、と示すために怒る。

    感情的になって声を荒らげたり、はたまた手を出したりなんかは良くないが、それさえしなければどんどん怒ろう。怒ることは他者への思いやりだ。教育だ。

 

    俺みたいに怒ることを放棄している人間のほうが最低だ。

    冒頭にも述べたが、怒ることを久しくしていなかったので、どう怒っていいかわからなくなったが故に、こんな所でカーテン1枚挟んだ隣の男に怒っている。

    これじゃあ、ただの陰口だ。相手に直接伝えることで、やっと怒ることになるのに。隣の男がこの記事を見てくれたらなあ。

 

    北川さん。隣の者です。病室で音が聞こえるほどのキスしたり、大声で電話するのやめてくれませんか。事前に断りをいれれば、何をしてもいいわけじゃないと思うんです。改善して頂くか早急に退院していただくかのご検討お願いします。

 

そろそろ認めませんか?

 

    こんな事を言うと、きっと非難を受けると思うんだけど、それでも言おうと思う。

 

    みんな、そろそろいい人ぶるのやめてよ。

 

    なんでこれを言いたかったっていうと、みんないい人ぶって生きてるのが気持ち悪いから。

    そりゃあ、マザーテレサみたいな混じり気ない善人もいるかもしれない。いるかもしれないけど、そんなのきっと人口の0.1%にも満たないと思うんだ俺は。

 

    なんでそんなふうに決めてかかるんだって言われるかもしれない。でも俺は、人間なんて生まれながらにして自分が一番可愛くて汚い生き物だと考えてる。所謂、性悪説って言うやつ。

性悪説(せいあくせつ)とは、紀元前3世紀ごろの中国の思想家荀子が、孟子性善説に反対して唱えた人間の本性に対する主張。「 人の性は悪なり、その善なるものは偽(ぎ)なり」(『荀子』性悪篇より)から来ている。

 

    俺はこれに酷く共感した。別に、ひねた考えを持ってる自分がかっこいいだなんて思ってない。

 

    俺はニュースで凄惨な殺人事件が報道されても、他人事だから悲しくならないし、運が悪かったなあその人、くらいにしか思えない。

    同様に、貧困国の現状を訴えられても、そんな環境に生まれた運の悪さが可哀想だな、俺は日本に生まれられてラッキーだったなくらいにしか思わないから、飯も残せば水も無駄遣い意図的にではないけどしてしまっているかもしれない。

 

    自分を他人に重ねるわけではないけど、きっとみんなこんなもんでしょ?違う?みんな殺人事件とか震災のニュース見て、深く胸を痛めてる?可哀想って思うくらいじゃない?

 

    俺から言わせれば、その可哀想の気持ちさえもいい人ぶってるって思う。

    痛ましいニュースに何も思わなければ、それは自分がひどい人間だということを許容する事実になるから、それを否定するように、一応、もしくはとりあえず可哀想って思ってるんじゃない?意識的じゃないとしても、無意識のうちに。

 

    みんながいい人ぶるロジックってきっとこれだと思うんだ。自分が悪い人間だということを認めたくないから。人間生きてりゃ悪いことなんてそりゃしてしまうし。未成年飲酒とかほとんどの人間がしてるんじゃないか?心当たりあるだろ?なあ?

    とにかく、自分の内に抱えた悪いことを、いいことをすることで相殺しようとみんないい人ぶる。悪い人間だということを悟られたら、幻滅されたり人が離れてったり怖いもんな。でもそれって、みんながいい人ぶってるからそうなんであって、みんなが自分はいい人なんかじゃないですって認めてしまえばそんなこともないと思うよ。

 

    俺は、いい人なんかじゃないよ。自分が一番可愛くて、汚いよ。

 

     みんなはどう?

 

丁度いい無駄

 

    笑いの本質は無駄なのではないだろうかと朝からずっと考えていた。別に、そんなのに答えはきっとないし、仮に答えがあったとしてもそれに辿り着いて得るものは何もないんだけど。ただこういう考えをするのが好きなんです、放っておいてください。

 

    そんなことを考えてたらそれがだんだん的を得てるように思えてきた。だってよく考えたら、そうなんだよ。落語とか漫才とか笑えるだけで別に何か得してるわけじゃない。可愛くもならないし、かっこよくもならない。それでも笑えるからというだけでそういう娯楽の類が好きな人は多い。

    でも、そういう人たちも今まで頑張ってきたことが全て水の泡になったみたいな「無駄」は好きじゃない。

    どちらも同じ無駄ではあるんだけど、程度が違う。前者は笑えるという少しの付加価値があるのに対して、後者は何も無い。純粋な無駄。

つまり、丁度いい無駄が望ましい。無駄には変わりないが、そこに何か少しでも付加価値のある丁度いい無駄。

 

    そんなことを考えてたら昼になった。賞味期限ギリギリのパンを食いながら、丁度いいが難しいよなあって思った。

 

    なんでこんなことを必死に考えてるかって、笑いの本質が無駄なら、無駄を丁度よく使えれば少しでも面白い文章が書けるはずだから。たまにしか書いてないくせに、気持ちだけは高く持ってるんです。放っておいてください。

 

    確かに、俺が好きな人のブログとかの文章でも、別にいらない表現や情報がある。でもそれが多くも少なくもなく丁度いい塩梅で、しかもそれらが本題をさらに面白くしている。

    やはり無駄は笑いの本質なのかもしれない。

俺は今でこそ無駄を楽しめる人間だけど、それまでは無駄を嫌う人間だった。きっと倹約家に育てられたせいだ。だから俺にはまだ無駄を生み出せても、それを丁度いい塩梅にする技量がない。

    心做し程度の無駄ならないほうがスッキリしていて良さそうだし、多かったら多かったでそれこそ純粋な無駄だし。

 

    ていうか、俺に丁度いい無駄を生み出す技量がないなら、こんなこと考えてることこそ純粋な無駄じゃんって気付いた。

 

    でも俺昔からこんな考えするのが好きだったから仕方ないか。せめて、記事にして人目に触れることで無駄の濃度を薄くしよう。

 

    という理由で書いた記事でした。ここまで読んでくれた人がいたなら、それは無駄なことだけど、丁度いい無駄ならいいな。

 

ポエミーグルーミー

 

    自分らしさから逸脱してみたいとき、誰しもにあるじゃないですか。そう思うときって、大抵周りの誰かの振舞いがトリガーになってる。

    例えば、普段照れくさくて彼女に好きだよなんて言えないけど、友人のあいつは自分の彼女にいつも好きだよって言っていて、それで彼女も嬉しそうで。それを見て、自分も好きだよって伝えて彼女を喜ばせたいなと思う、みたいな。

 

    俺にもそういう風に自分らしさから逸脱したい時があるわけ。自分らしい文体から、逸脱したいわけ。

 

    そうです、文章の話です。

 

    俺はこれまでちょこちょこ文章書いてきて、今の文体がしっくりくるようになったんだけど、たまに、いつも通りの文体から抜け出して違う形の文体で表現したくなるときがある。

    普段、読まれることを意識して、なるべくわかりやすく簡単に書くことをモットーにしてるから、対極にあるポエミーな文体を特に渇望する自分が心のどこかにいる。

    そんな自分は、普段は心のどこかで大人しくしているが、ある時に限って暴れだす。

 

    インスタグラムを見たときだ。

 

    いつからかインスタグラムはオシャレというイメージがついていて、可愛いとオシャレで凌ぎを削り合う女の子はみんな特別な日を切り取り、更にはそこに加工まで施す。

    それをみんながやるもんだから、次はそれが標準になって、また新しいオシャレを生み出して、それも標準になって、と永遠ループを辿る。

 

    そして遂には写真だけでなく、文章にまでオシャレ化の波は及んだ。その結果がポエミーな文章。

    なんでもない日常もオシャレな私はこういう風に感じていますよ、と表現するにはポエミーな文体は適している。

 

朝、ジリリと時計がなる音と共に起きた私は、まだ少しだるい体を引きずって窓まで行くと、一つ深呼吸をしてカーテンを開ける。

すると眩しい光が私を包むと同時に、体のだるさがとれて目がだんだん覚めていく。

 

 

    朝起きてカーテン開けただけをわざわざこんなポエミーに書く。目を覚ませ。それは別にオシャレじゃない。

 

    ただ、やはりポエミーという言葉に許容されるこの表現法は自分の文体から対極にあるからこそ、手を出したくなる。

 

    そういうわけで、俺もポエミーな文章を書いてみようとするんだが、書いてる途中にこれ読まれるの恥ずかしいなと思ってしまう。

    一度そう思ってしまうと、だんだん恥ずかしく感じる気持ちは増して、遂には公開せずにそっと削除する。

    しかも普段と違う文体で書くもんだからいつもより時間かかってるし、手間もかけてるし。

    費やした労力と時間がボタン一つで無に帰すこととか、恥ずかしさに打ち勝てなかった自分のメンタリティとかが嫌になって憂鬱になる。

 

    そういうお話でした。

 

 

 

「また」の魔法が解けるのが怖い

 

    「ばいばい、また明日!」

 

    そう言って、夕方から夜に移り変わる微妙な塩梅の空模様の中、小さくなってく友達の背中を見守る。一息ついて、自分も帰路につく。明日は何して遊ぼうかななんて今のうちから考えながら。

 

    でも歳を重ねて環境が変わるごとに、毎日会えてたやつに毎日会えなくなっていく。そういうやつとの別れ際には「また」とは言うがその後に「明日」とはつけない。

    だって明日会えるかどうかわからないから。でもそいつとの関係性をつなぎ止めておきたいから、保留するように、先延ばしにするように、とりあえず「また」と言っておく。

    その後に具体的な日時を指定するような言葉を付け加えることは無粋だから、しない。

 

    しないんだけど、もしかしたら、とりあえず放った「また」が、もしかしたらこの先ずっとこないんじゃないかと思うことがある。

    もし来なかったら、そいつとの関係性はもう終わり?他人との関係を保留できるはずの魔法の言葉も、時として魔法が解けてしまうこともあるってこと?

 

    俺みたいなひどく寂しがりの人間には、誰か一人でも失うことが辛いし怖い。

    でも、しばらくして自分から連絡をとって会う約束をとったりするのは嫌だ。

    嫌というか、人に明らかに好意を向けるのも怖い。自分はそいつが大好きでも、もしかしたら相手は表面上取り繕っているだけで、もしかしたら俺のことを嫌いかもしれないし、だとしたら好きだからこそ嫌な気持ちにさせたくないとか思う。思ってしまう。自己肯定感の低さが故に。

    だから嫌な気持ちにさせてさらに嫌われると思うと、怖くて好意が向けれない。

 

    「また」という言葉に、大体半年以内とかいう認識というかイメージがつかないかなあ。

    そうでもないと、偶然を装いわざと出会うことで、「また」という不確かな未来を強引にもぎ取る俺みたいなストーカーまがいの人間が増え続けると思うんだ。

 

    そういう話。