忘れないように

単に記憶力が著しく悪いのか、それとも他に何か原因があるかわからないけれど、年々忘れてしまうことが増えています。その時を生きていた俺が死んでいるような、もう二度と手に入らないものがこぼれ落ちていってるような、そんな気がしてもうこれ以上失いたくないので、日々を書き留めたい気持ちがこのブログです。

アイコンに恋をする

 

    スマホの所持率増加と共に普及しているLINEやTwitter。特に前者は無料で通話ができるしメールよりも早く手軽にメッセージ交換が出来るので、今や現代人にとってのネットコミュニケーションはイコールLINEと言っても過言ではない。

 

    しかしTwitterも、LINEまでとはいかないものの大多数の人間が使用するSNSである。俺なんかはスマホを見てる時間のほとんどがTwitterだ。

 

    Twitterというものをやっていない人のために軽く説明すると、個人個人が各々アカウントを作り(このへんはLINEと一緒である)、それを知人同士や検索を用いて趣味が合う人達と互いをフォローする。

    そうすると、自分が今思っていることを呟くことで自分をフォローしている人たちがそれを見たり、自分がフォローしている人たちの呟きを見れる。そして自分が誰かの呟きを見るとき、呟きの横ににその人のアイコンが表示される。

 

    例えば飼ってる猫をアイコンにしている人の呟きならば、ちょうど猫が「ユニバなう」などと喋っているように見えて少しのファンタジーを見いだせる。

    同じように松岡修造をアイコンにしている人が「寒すぎてテンションめっちゃ下がる...」なんて呟いていようもんなら、暑苦しくない松岡修造が見れたりする。

 

     もちろんアイコンがそのアカウントのユーザーの本当の顔ではない。特に個人情報の流出などで詐欺被害が増加する昨今、SNSは詐欺者が個人情報を狩る恰好の場所なので、余計易々と顔写真をアップロードすることはできない。

     おそらくギャルがよくやる下を向きながら顔の真ん中にピースを持ってくるあのポーズもそのへんを懸念してのことだろう。

 

    だから俺もアイコンの写真が即ちそのアカウントのユーザーの顔ではないことは理解している。

    俺は情より理を重んじる人間だ。いくら喋るファンタジーな猫や暑苦しくない松岡修造を見たいと思っていても、これはアイコンだからそんなはずはないと思うことができる。

 

    しかし俺はどうやらある時にのみおいて理より情を重んじてしまう。それはアイコンの画像がとびきりドストライクの美人のときだ。

 

    夜誰も呟いてないような時間に、とびきり美人のアイコンで「モヤモヤして眠れない…」なんて呟かれていたりしたときには理論がすぐにログアウトして感情に支配される。

 

    モヤモヤしてるということは悩み事があるのだろうか。恋の悩みだろうか。きっとこんなに美しい人ならやることなすこと全て美しい筈なのできっとその恋もドラマのような恋なんだろう。

    すると相手もとびきりのイケメンだろう。そんなイケメンを思って美しいため息をついているのだろう。

 

    すでに俺の頭の中では、そのアイコンに設定された美人イコールそのアカウントの中の人だという思い違いを起こしている。

    その美人がイケメンな彼を思ってモヤモヤしているいじらしい姿を浮かべて俺は悶々としてしまい、気づけば恋に落ちているのである。

 

    そしてもっとその人のことが知りたくなりその人のページへと飛ぶと過去にあげているそのアカウントの本人の顔写真を発見し、恋が終わる。