忘れないように

単に記憶力が著しく悪いのか、それとも他に何か原因があるかわからないけれど、年々忘れてしまうことが増えています。その時を生きていた俺が死んでいるような、もう二度と手に入らないものがこぼれ落ちていってるような、そんな気がしてもうこれ以上失いたくないので、日々を書き留めたい気持ちがこのブログです。

人の気持ちが数値化できる機械が欲しい

 

    タイトル以上のことは何も無いんだけど。人の気持ちが数値化できる機械が欲しいなっていうただそれだけの話。

 

    欲しくないですか?例えば誰か親しい人を食事に誘うとき、俺は自分に自信が無いから、

 

    (もしかしたら親しいと思っているのは俺だけで、相手は俺のこと嫌いかもしれないし、だとしたら嫌いな俺に食事誘われたら嫌な気持ちにさせてしまうのでは。)

 

    とかそういう風に考えてしまうので、俺は人を誘うのがめちゃくちゃ苦手です。自称サバサバしてる女くらい苦手です。俺はそういう自己肯定感が低い人間なんです。

    知ってました?こういう人間もいるんですよ?だから誰か誘っといてって頼むのやめてくれませんか?俺の視点からだとその言葉はもはや「苦しんで死ね!」としか聞こえません。

    あと俺が人前でとにかく喋り続けてるのは、俺なんかは黙っててもいいような存在じゃないって思ってるからであって、

 

    「あ、地元伏見区なんだ。伏見区の人間ってみんな前科あるよね。ところで君はいくつもってる?」

    「京都の人間はみんな大阪嫌いだよ」

    「災害が起きたときペットは最悪非常食になるよ」

 

    とかそういうわけのわからないことを口走るのは何も喋ることがないのに無理に喋ろうとするからなんです。勘違いしないでください、俺はそんな人間じゃないつもりです。

 

    話がだいぶ逸れました。とにかく人の気持ちが数値化出来たら、この人の数値は2だから俺のこと好きじゃないから誘うのやめておこうって思えたり、逆に、この人600もあるとか俺のこと超好きじゃん、おいてめえ一生一緒にいるか?ともなる。

    あと、久しぶりに会った友人と、久しぶりだね、またご飯でも行こうねとか話してるときに、俺この日空いてるんだけどそのときご飯どうかな、なんて言うと、マジで行くんかコイツ、みたいな顔されるときあるじゃないですか?そういう時にも気持ちが数値化出来たら本心なのか社交辞令なのか判断できる。

 

    ほら、欲しくなってきませんかそんな機械。人の本心が見えるなんて怖いっていう意見もとてもわかるんだけど、それ以上に利点が多いと思うんです。もうちょっとリアルにこの機械があったらを想像してみよう。

 

 

 

    「高かったけど、この人の気持ちが数値化できる機械買ったぞ!これさえあれば生まれてこの方彼女いない俺にも彼女が出来るはずだ!でもまずは、ちょっとこの機械の自慢でもしたいから、親友の菊池にでも見せるか」

 

    「あ、もしもし菊池?今暇?ちょっと見せたいものあんだけどさ、今から駅前のサイゼ来れる?え、飯奢ってくれたら?しゃーねーな奢るよ、じゃ待ってるから!」

 

    「あ、菊池!こっちこっち!」

 

    『なんだよ見せたいものって?』

 

    「お前、最近発売された人の気持ちが数値化できる機械って知ってる?」

 

    『あのめちゃくちゃ高いやつだろ?テレビで見た。』

 

    「そうそれ。なんと俺はそれを買いました!そんでちょっと誰かに自慢したくて、お前呼んだんだよ。」

 

    『マジかよ、よくあんな高いの買ったな。ちょっと見せてくれよ。』

 

    「なんか0から100まであるらしくてよ、ちょっと親友のお前だったらどれくらいの数値なるかやってみるな!」

 

『いや、それはやめといたほうが…』

 

「えっと、これをこうして…こう!」ピッ

 

   7

 

    「ん?7…?…あれ、壊れてんのかなこれ?」カチャカチャ

 

    『……。だからやめろって言ったのに。…でもいい機会だからもう言うよ。俺、ずっとお前と仲良いつもりじゃなかったよ。』    

 

    「え…。」

 

    『なんならちょっと苦手だし。今まで悪い気がして言えなかったけど。でもまあこれでわかってもらえてよかったよ。そういうことだから、もうこれっきりだ。じゃあな。飯もなんかもういいし、帰るわ。』

 

    『あ。今度は、その機械で本当の親友作れるといいな。じゃあ。』

 

    そう言って菊池は席を立ち、店から出ていった。

    

    「これ、クーリング・オフできるかなあ。」

 

 

 

    いや、リアルに考えたらいりませんねこれ。残酷すぎる。俺は一生人を誘えないままでいいや。