忘れないように

単に記憶力が著しく悪いのか、それとも他に何か原因があるかわからないけれど、年々忘れてしまうことが増えています。その時を生きていた俺が死んでいるような、もう二度と手に入らないものがこぼれ落ちていってるような、そんな気がしてもうこれ以上失いたくないので、日々を書き留めたい気持ちがこのブログです。

ポイントカードトラップ

 

    うちの叔母は母の代わりのように父子家庭の俺を小さい頃から面倒みてくれている。俺は叔母と祖母に育てられた。戸籍上も血縁的にもたしかに母じゃないけど、漢字にしたらどちらも「母」ってつくんだし、俺は2人を母と思っている。

    その叔母のことなんだけど、彼女はとにかく倹約家だ。倹約家が揃ううちの家系でもピカイチで倹約家。俺は突然変異のように全然倹約家じゃない。多分浪費家な父の血を引いてるからだ。よくコンビニで買い物して帰ってきたりすると、もっと安く買えるスーパーがあるのに、とボヤかれる。

 

    そんな叔母が夕方くらいに、いそいそと買い物へ出かけて行った。今日はポイントが2倍、とか言って。俺はそんな彼女を見て、ポイント好きだよなあとか思っていた。思えば、彼女はいつもいつもポイントと言っている。取り憑かれてるかのように。ポイントって現代の幽霊?

    今日はこれを買うとポイントが得だからとありったけのパンを買ってきたことが昔あった。っていうか今でもパンに限らずポイントがお得ならありったけ買ってくることはたまにある。

    でもありったけ買うもんだから、よく消費期限を切らす。ポイントはお得かもしれないけど、消費期限切らしてたら商品そのものを買ったことが無駄になるのでは?と言おうとしたら、消費期限が切れてもお構いなしにバクバク食べてたので一貫してるなあと感心して俺は口を閉ざした。

 

    それでもポイントのために欲しくもないものを買うのはそもそも無駄だと思うけど。ポイントって、お得に見せかけて貯蓄気質な現代人を刺激するいい言葉だな。ポイント5倍!とか、最高の煽り文句じゃん。ポイントカードってそういうトラップなのかも。

 

    叔母もけっこういい歳なので、バブルの黄金期からバブル崩壊後の不況だなんだ言われた社会への変遷を生きてきた人だ。だから倹約家なのだろうし、貯金もコツコツとする。まあ多分貯めることが好きなのもあるんだろうけど。お金も、ポイントも。

 

    以前買い出しについて行かされたとき、レジで下2桁の端数分ポイント使えば?と提案した。よくコンビニとかで俺もやるやつ。そしたら、そんなんもったいないやんか、と返された。ソンナンモッタイナイヤンカ?え?じゃあ聞くけど、貯めたポイント何に使うの?しつこく聞いたけど、彼女は何も答えない。これはあくまで俺の予想だけど、俺が煩わしいからシカトきめこんでるんじゃなくて、返す答えがないからじゃないだろうか。

    それとも俺が知らないだけで、スーパーのポイントを何百万ポイント貯めたらなにかいいことがあるとか、スーパーは貯めてるポイントの数で凌ぎを削る主婦の戦場はなのだろうか?いや、そんなまさか。

 

    貯金も節約も最早叔母のライフスタイルなので、今日も彼女はポイントを貯める旅にでる。ポイントを貯めたい理由も目的もないけど、それでもポイントを貯める。彼女の意思は硬い。

 

    浪費することがいいことだとも思わないけど、お金もポイントも使って初めて機能するものなんだと思うんです俺は。思うってか、実際そうだと思うけど。貯めるだけじゃ、お金もポイントを殺してるようなもんだよ。倹約も貯蓄もいいことだと思うけど、程々でいいんじゃない?浪費してこうよ。欲しいブランドのカバンが高い?いいじゃない。買えば。5万円が5万円分の価値があるカバンに変わるだけだよ。形が変わるだけ。なにも損はしない。くらいの気持ちでさ、浪費してこうよ。